2022年大晦日に小海町松原を訪問したのは、この松原湖周辺にも諏訪大社(神社)に似た祭祀形態が残っている事を学んだためである。松原湖(本来は猪名湖、長湖、大月湖の総称らしい)南東に松原諏方神社上社、その対岸に松原諏方神社下社、湖畔に弁財天など、諏訪大社の上社、下社の位置関係も似ているという。夏には御射山祭、明治までは御頭祭のような祭祀も続けられていたというから興味は膨らむ。
松原諏方神社に伝わる縁起(伊那古大松原大明神縁起)には戦乱に明け暮れる諏訪大祝の権威失墜を契機に、諏訪大明神は新たな祭祀を求めて飛来したと伝えている。「戦乱の血に穢れた諏訪の地にも大祝にも愛想をつかした。今後は当地において諏訪の儀式を相違なく受け継ぐように」
その諏訪大明神の御神託は、鎌倉から室町時代の混乱の時代を生きた人々にどのように届いたのか、その場所に立って想像してみよう。
時期が時期だけに湖は全面結氷し、ワカサギ釣りを楽しむ人々が居た。そして大月湖では御渡り(本来は「御神渡り」ではなく、「御渡り」で「みわたり」と読んだらしい)の前触れとなる氷の軋む音も聞くことができた。
【参考資料】
松原諏方神社(http://matsubarasuwajinja.com/)
諏訪信仰の歴史と伝承(二本松康宏 編)
もりした かずこ
ヨーロッパ イギリス、ハートフォードシャー
2024/03/01
もう長い間イギリスに住んでいますが、このような日本人の精神性や奥深さは特別だと思っています。自然との結びつきや、長く受け継がれてきた伝統や精神は、これからも守られて行ってほしいです。湖の氷の軋む音は初めて聞きました!