ちょうど2年ぐらい前のこの時期に、カンタベリーの街を訪れました。
カンタベリーはイギリスの南東部に位置するケント州にあります。
長い歴史のある街で、古くは先史時代から人が居住し
西暦1世紀ごろにはローマ人が入植して街を再建しました。
5世紀初めにローマ人が去り、100年間ほど経ってアングロ・サクソン人が
流れ込み、コミュニティを作りました。
カンタベリーはキリスト教の聖地としても重要な地です。
6世紀の終わりころからキリスト教の拠点となり、カンタベリー大聖堂も建設されました。
1170年にカンタベリー大司教であるトマス・ベケットがカンタベリー大聖堂内で
お祈りをしている時にヘンリー2世の騎士に暗殺された後には、
殉教の地として各地から多くの巡礼者が訪れました。
巡礼に行く様々な身分の人々が、同じ宿で自分の知っている話を順番にした
『カンタベリー物語』は、ご存じの方もいらっしゃるかと思います。
カンタベリーの街にある建物には、古くは12世紀のものから19世紀のものまで混在しています。
写真にもありますが、川沿いの家の壁の看板には1500という文字が見えたり、
他にも建てられた年号が壁に記載された建物がいくつもあります。
多くの古い建物は、内装を少しリフォームして、お店や観光センター、
カフェやレストランなど、現在も利用されています。
歴史的な建物のカフェでコーヒーを飲むのも、その建物の中から石畳の上を行き来する人々を
窓越しに眺めるのもなかなか素敵だと思いませんか?
多くの歴史的な建物は、国の指定する文化遺産リストに載っていて、
グレードⅠやⅡの建物は許可なしで建物を改装できないことになっています。
もちろん水道や電気の工事の他、修復しなければいけないところもあるので、
このような歴史的な建物を扱うのには、それなりの手続きや労力が必要となります。
内装を変えると言っても、天井の梁や暖炉、木製の扉など、昔のままの姿で
保存されていることが多く、「昔の家からこんなものが出てきた」という
お宝話もよくあります。窓枠がゆがんでひし形になり、それに合わせた形の
窓ガラスが使われていることも良くあります。
イギリスの地方には、このように古い町並みが残っている場所が沢山ありますが、
長い歴史の跡が残されているカンタベリーの街並みも、とても魅力的な雰囲気を保っていました。