4月22日(土)、秋田で初めてとなるささらプロダクションの作品上映会「うつし世の静寂に」が無事終了しました。定員を超えるお申し込みをいただき、当日参加も合わせ50名の方々にご参加いただきました。
映画の内容は川崎市宮前区を舞台に古くから伝わる地域の伝承文化やそこに生きる人たちの営みを丁寧に映し出したもので、小倉さんの言葉を借りれば、私たちが日々の経済活動の中で、いつの間にか「重荷」としてしまった文化が果たして来た役割をもう一度読み直す、まさにその試みを私たちに与えてくれたものだったと思っています。
聞き手としてご参加いただいた石倉敏明先生の豊かで繊細な解説に導かれながら、映画監督の由井英さんが参加者の皆さんに問いかける。そこに作家の小倉美恵子さんが背景を語る、というとてもとても贅沢な時間でした。
年齢も職種も異なる参加者の皆さんからの質問も多岐にわたり、運営側の立場であることも忘れて、やり取りに聞き入ってしまうこともありました。
私は毎日の生活の中で、つい自分のテリトリーの中だけで動いてしまうことがあります。自分の仕事ではない、私の範囲ではない、などつまらないことにこだわって、小さく纏まりがちです。今回の上映会を通じ、普段の自分の役割とは異なることをすることで、範疇を超えた先にある交流や学びを得ることができました。このような機会を与えてくださった石倉先生、由井さん、小倉さん、そして何よりもご参加いただいた皆さまにはどのように伝えたら良いのかわからないくらい感謝しています。
「また何をやらかすの」と苦笑いしながら気持ちよく協力してくれた職場の友人、甥っ子たち、夫、状況を把握しないまま指示出しとだめ出しをたたみかけるように出してきた母、上映会にご参加くださったカセム学長にも心から感謝します。
私は秋田が好きです。ゲンナリすることもありますし、ここを出なくてはいけない、と思っていた時期もありましたが、今は、秋田はあらゆることのラストフロンティアだと思っています。土地にとらわれることは必要ないと思いますが、蔑ろにするほど軽んじてはいけないとも思っています。社会は加速的に流動し、平均化しているように感じますが、足元にあるものを丁寧に耕すことで、植物や菌類が根をはって、土の中で情報を交換し合いながら成長しているような、そんな社会の一助になれたら良いな、と改めて考えました。
この場を借りて、ささらプロダクションの小倉さん、由井さんにお礼を申し上げます。
また、この投稿を通じて、秋田への興味など読んでくださった方々に持っていただけたら幸いです。
本当にありがとうございました。
ユリノキ舎
秋田市
2023/05/06
由井さん
この度は大変貴重な機会をいただきました。
今は、これまで当たり前だったもの、見過ごしてきたものを、もう一度手にとり、慈しんでみたい、という気持ちです。
若い人たちのアイデンティティの模索は、地方在住だからこそにキャラクタライズされるような、鋭敏で、また野生的なところがあります。彼らにとってもこの映画会が非常に刺激的であったことを聞くたび、改めてささらのお二人に感謝の気持ちでいっぱいになります。
ありがとうございました。