地域 ヨーロッパ

イギリスの保育園

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制度・仕組み

令和(2019〜)

去年の1月から、下の娘が以前通っていた保育園で働き始めました。私が配属されたのは2歳~3歳の子供がいる部屋です。イギリスでは、すべての子供が3歳から無料で保育園や保育サービスを週15時間、利用できる制度があります。ただし、世帯収入が基準より少なかったり、何らかの特別な支援が必要な子供は2歳からの保育施設の利用が可能です。私の働く部屋にいる子供たちは、ほぼ何らかの事情があって来ている子供達です。

 

子どもたちの国籍はイギリスとは限らず、ルーマニアやポーランドなどの東欧から移住してきた両親を持っていて、家では全く違う言葉で話している子供たちが何人もいます。サポートが必要な子供達の中には、身体や脳の障害を持つ子供もいます。子どもたちはコロナ禍の中で生まれたこともあり、コミュニケーションを取ることが難しく、3歳近くになっても言葉が出てこない子たちもいます。お母さんしかいない子供、両親がいない子供、家庭事情が複雑な子供もいます。

 

コミュニケーションが取れない子供たちの中には、癇癪がすさまじく2時間ぐらい叫び続けたり、他の子供が使っているものを、その子を押し倒したりたたいたりして奪おうとしたり、ものを投げたり壊したり・・・その度に、先生たちがそれは正しくないことだと教えるのですが、なかなか根気がいる作業です。なぜならその子たちが家で同じ行動をしたときに、家にいる大人が同じように教えない事もあり、子供たちの中で混乱が起きるからです。家で子供の癇癪に耐えきれず、大人しくさせる為に親がおやつをあげる習慣があると、その子供はストレスを感じるとクラッカーがしまってある戸棚を開けようとしたりします。

一日3時間の保育園で教えられることは限度がありますが、それでも根気よく教え続けるのが保育の仕事の大切なところです。

 

なんだか大変な面ばかり先に書いてしまいましたが、保育園では楽しい事も沢山あります。

 

長靴を履いて広い野原を歩いて自然を散策するフォレスト・スクール(森の学校)では、鳥の鳴き声を聞いたり、草花を見たり、キツネやウサギなどの巣の穴を外から見たり、火を焚いてココアを温めて飲んだり、季節を感じながら色々な発見をしていきます。

 

バードウォッチング週間では、ラードに鳥の餌をくっつけて棒を刺し、糸で木の枝にぶら下げて鳥が食べに来るのを見たり。お料理ではソーダブレッド作りなどもします。イースターにはヒヨコが卵から生まれてくる様子を見たり、春には青虫がさなぎになって蝶になるプロセスも見ます。

 

2歳や3歳の子供たちが大きくなった時に、この体験は記憶としてどこまで残っているものかわかりません。でも、コロナ禍で家にいる大人が大きなストレスを抱えていたかもしれない時に生まれた子供たちが、外に出て社会性や新しい可能性を見つけていくのは大切なことです。この子はどんな風に成長していくのだろうと考えながら、毎日子供達と向き合っています。本当に思ったより大変な仕事ですが、まだまだ毎日が私自身の勉強です。

 

私は日本の保育施設で働いたことがないので比べることができないのですが、

いつか機会があれば日本の保育園の様子も見てみたいと思っています。

 

補足:久しぶりに書いたイラストは、2,3歳児にとって「絵を描く」という作業はどういうことか、私なりに解釈したことです。「紙に書く」ということを解釈している子、紙に書いているうちに偶然手に書いてしまい、そちらの方が面白くなってしまった子、いけないとわかっているのに隠れて顔に書いている子、紙に書いているうちに床にはみ出しても夢中で書いている子、ペンを入れた容器を倒す方が面白い子、、本当はこの場所には大人が2人ぐらいいて注意したりするのですが、イラストは大人抜きで描きました。

2023/03/18 (最終更新:2023/03/19)

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