月刊『日本橋』という地域誌から寄稿のご依頼をいただいた。8000字の小世界で、「アスファルトの下と上を繋ぐ」という年来のテーマを表現してみようと挑戦してみた。舞台は川崎市宮前区。このニュータウンに生まれ育った若者が発した「ふるさと難民」という言葉は、アスファルトを突き破り、その下に埋もれてしまったものに響く力を持っているように思われた。
意識が都心に向かうこの町で、彼は東日本大震災、次いで起こった原発事故、さらにはコロナ禍、ウクライナの戦争…と大きく揺れる時代に直面している。方や、200年ほど前にこの町に生まれ、幕末から明治に至る動乱期に生きた百姓「鈴木藤助」という人の日記にも、安政の大地震から黒船来航、明治維新…と、激動の時代を生きた戸惑いや不安が綴られている。同じ町に200年の時を隔てて生きる「迷える魂」がアスファルトの上と下を繋いでくれることを期して筆を執った。
*月刊『日本橋』は、日本橋界隈の情報が詰まった読み応えのある冊子です。
寄稿文の全文は、ぜひ2月号のご購読をお願いします。
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