[全体講評会]
全体講評会で、制作したドキュメンタリー映画を公開しました。
私は、からあげくんレッドの映像編集を担当しました。編集の際に3つのことを工夫しました。
➀映画にモノクロの映像を挿入した点
モノクロの映像は2回用いられていて、1回目は冒頭のジャズが流れてくる場面で2回目は、インタビューに協力してくださった安田さんが定禅寺通りについて熱く語っている場面。
・ジャズが人々の暮らしに彩りを与えているということを表現するため
・仙台ジャズの発祥の地となった定禅寺通りを意識させるため
2回定禅寺通りの色を操作しました。
中間講評会の時点では、モノクロの映像とカラーの映像をカットごとに切り替えていました。しかし、そうするとモノクロの映像が過去の印象を想起してしまうと、ご指摘を頂きました。そこで、ワンカットの中でモノクロからカラーに色を変化させるよう改善しました。
②冒頭のジャズを演奏している映像と、後半のジャズを演奏している映像に同じ素材を使った点
安田さんの「ジャズと仙台」に関するお話を通し、「仙台の音」や「方言を話しているような楽器の吹き方」など、同じ映像でもはじめ見た時と2回目見た時とで感じ方が変化するとおもしろいなと考え、あえて同じ素材を使いました。
③インサート
ズームインやズームアウトが激しい映像のときにインサートを積極的に使うことを心がけました。また、話題が変わるときにインサートを入れ、これまでの流れ一区切りつる工夫をしました。さらに、安田さんがインタビュー序盤、食べ物について語っている場面がありました。そこで、最後においしそうな食べ物屋さんの看板のインサートを入れることで、安田さんのお話を振り返ることができるようにインサートの使い方をしました。また、安田さんの単独ドキュメンタリー映画にならないよう、安田さん以外の人を積極的にインサートで取り入れることも工夫しました。
そして、映画の終盤でインタビュー映像を使用せず、日常の生活音とジャズだけの音声を用いることで、「音が語る」を表現するとともに、これまでの映像の余韻に浸ることができるように工夫しました。
[由井さん]
自分自身のチームのドキュメンタリー映画を見て、まだまだ雑音が目立っていたり、手ぶれ補正を編集できていなかったりと力不足を感じました。しかし、由井さんの丁寧かつ温かいご指導の下、チームのみんなと協力し合い、何とか1つの作品を完成させることができました。短い間でしたが、貴重な経験や学びをありがとうございました。楽しかったです。
由井 英
川崎市宮前区
2023/01/20
まつかわさん
完成作品が見られることを楽しみにしています。まつかわさんたちのチームは、なんと言ってもモノクロ映像の使い方が面白いと思っています。
「なるほど、そういう使い方があるのか」と思わず頷いてしまいました。そして、「どうして、そのような発想が生まれてくるのだろう」ととても興味を持ちました。
以前あなたは、テスト撮影のときに仲間の質問に答えて、高校時代にワンダーフォーゲル部で体験したことを振り返ってお話をしていました。あのときの話は今でも私の心に残っています。
「山を登るということは、自分を犠牲にしてでも他の人のことを考えなければならない時があります。それがこれまで私が経験してきた他の部活と全く違うところです」というようなお話でした。
そのお話とモノクロ映像の斬新な使い方(人の耳目を集めようとする奇抜さはなく、どこか眼差しが優しい)に関連性があるのか、ないのかは分かりません。ただし、まるで澄み切った池の水面をふわっ、ふわっと浮かせて湧く泉ような発想は、今後もあなたを支えていくことになるのではないかと思います。
最も困難に直面した時に、その泉がどこからともなく湧いてきて、次のステージへ導かれていく。そんな姿を垣間見ることができたのは、ひとりの映画作家である私にとって幸せな体験でした。
大学を卒業し、社会人になっても、ホームタウンノートを続けていってくれることを望みます。負担のない範囲でどきどき投稿をしてくれると嬉しいです。そしていつか、「ああ、あのとき一緒に映画を作ったよね」と再会し、話せる日が来ることを願っています。